# レポート
イベント「WasmCon 2023 Recap」開催レポート
2023/09/22に開催したイベント「WasmCon 2023 Recap」のレポートです。
2023.10.02
イベント概要
2023年9月22日(金)、Cloud Native Meetup Tokyo Communityの主催にて「WasmCon 2023 Recap」が開催されました。イベントは今月初旬にワシントンにて開催された「WasmCon 2023」のリフレクションを目的とし、3つのセッションと登壇者同士の座談会に加え、参加者も交えた懇談会が行われました。
イベント内容
はじめに、「WasmCon 2023 Keynoteから見るWASMの今」と題し、株式会社NTTドコモ 山崎氏より講演がありました。「WasmCon 2023」のサマリーからはじまり、コンテンツの説明に移ります。2日間で約50ものセッションが開催され、主にWebAssembly(Wasm)、Wasmをブラウザ以外で動かすための仕様 WebAssebmly System Interface(WASI)や、Android/iOSなどクロスプラットフォームに関する内容に加え、トレンドであるLLMの活用方法についても扱われていたといいます。Wasmに関して、コード生成機能や優れたスピードなどの特徴が複合的に重なり合い、Webでの利用にとどまらず様々な場面で適用が進むだろうと、Wasmのパフォーマンスへの期待値が高まっていることが強調されました。例として、「WASIを実装したWASM Runtime」や、「WASI Preview 2」の実装などが挙げられました。
続いて、NTTソフトウェアイノベーションセンタの吉村氏より「様々なWasmのセキュリティ」についての講演に移ります。Wasmのセキュリティの特性について触れられたのち、WasmConでの2つのセッションの紹介がありました。1つ目のセッションでは、Wasmの安全性について解説がありました。Wasmのセキュリティの特徴として挙げられるデータメモリとコードセクションメモリの分離により、スタックを攻撃されたとしてもアドレスのチェック等でエラーが起こる仕組みであるため、canaryが不要である点が述べられました。ただし、ランタイムに脆弱性があったり、悪意のあるWasmのモジュールを実行することは危険であるため、セキュリティ層を追加することはやはり軽視してはいけないプロセスだといいます。2つ目のセッションは、「Wasmtimeでのセキュリティ確保のための技術」についての講演を紹介していただきました。Wasmtimeでは依存するRustライブラリの検証も行われているといいます。Wasmは一定の安全性しか担保しないため、他の技術との併用やランタイムのセキュリティにも気を配る必要があると強調しました。
最後のセッション「個人としてミドクラの発表を振り返る」では、実際にWasmConでプロジェクトの発表を行ったミドクラジャパン株式会社の清水氏により講演がありました。WasmCon 2023で発表されたプロジェクト「WEdge Project」は、デバイス・OSの縛りを排除し、開発者がアプリケーションを書くハードルを下げることをゴールとしていることが述べられました。特定のデバイス向けにソリューション転換する際のプログラムのポータビリティの欠如などを課題として取り組んでいるといいます。WasmCon 2023では、ハンズオンを組み込んだ3時間に及ぶワークショップののちも参加者同士の議論が見られ、盛り上がりをみせました。
イベントの後半には、登壇者の3名とテクニカルライターの松下氏を交えた座談会が行われました。参加者からの質問に気さくに答えたり、笑いが起こる場面もあり、有意義な意見交換でありながらもアットホームな雰囲気の座談会となりました。
イベント主催者の声
今回は、WasmConに参加したメンバーを中心にリキャップを通してWasmに関して理解を深める目的で、本イベントを開催しました。イベントを終えて、各々が得たナレッジをより多くの技術者と共有するかたちでアウトプットすることはやはり大切だと感じました。また、今回はオフラインでイベントを開催しましたが、会場の雰囲気や設備の充実度にも満足しており、非常に良いかたちでイベントを終了することができたと主催者として感じています。
イベント参加者の声
様々な視点とディスカッションを通してWasmについて、実際に出席された方から最新のキャッチアップができたことはとても貴重でした。また、自分の領域とまた違う専門の他の参加者とも談話し新しい知見を得ることができ、密度の濃い時間となりました。(30代男性)
イベント主催
Cloud Native Meetup Tokyo Community
Cloud Native に近しい技術や Cloud Native Computing Foundation(CNCF) がホストするプロジェクトについて共有し合うコミュニティです。
https://cloudnative.connpass.com/
docomo R&D OPEN LAB ODAIBA
所在地:東京都港区台場2-3-2 台場フロンティアビル 12F
アクセス:お台場海浜公園駅から徒歩1分、東京テレポート駅から徒歩3分
公式ホームページ:https://docomo-openlab.jp/
docomo R&D OPEN LAB ODAIBAは、コワーキングはもちろんイベントやプレゼンテーションなど目的に合わせて活用できる3つのエリアを提供しています。オープンな環境とクリエイティビティを刺激する最新の機材で、人と技術の交流による新しいものづくりを促進します。